瀬戸市は「焼き物と言えば瀬戸」と言われるほど、過去、焼き物文化で栄えた町です。しかし、焼き物文化の衰退とともに後継者も減り、事業所は減少する一方です。石膏型の製造業者は、最も多い年代が70~80代。後継者もいないとなれば時間とともに縮小することは間違いありません。

また、焼き物と聞くと茶碗やお皿などの食器をイメージする方が多いかと思いますが、英語にするとセラミックスとなります。つまり、セラミックスはあらゆる産業に活用され、食器に限りません。最近では自動車や半導体など、大きな産業に関わるお仕事も頂いております。

弊社は石膏型の製造をしておりますが、原型も一から手作業で製作します。

そのため、手作業での製作となると、長年の職人の技術が必要となり、ここが一番の問題です。事業所が減る以上に、脈々と受け継がれてきた職人の技術が消えてしまうことが一番の問題です。また、3Dプリンターを活用する予定ですが、技術が進歩しきっておらず、まだ手で製作した方が速く、正確かつ安価な状況です。

私が家業に就いてから約8年経ちましたが、まだ職人の技術としては完全とは言えません。経験、知識も必要となり、そのためには長年様々な仕事をこなし、先代、先先代からの経験、技術、知識を吸収する必要があります。いなくなってからでは遅く、職人レベルの技術は細かな一工夫であったりするため記録には残っておりません。誰もいなくなった後にパッと始めてもまずできません。

弊社は、焼き物の石膏型産業を支えるとともに、長い年月で培われた技術を伝承し、後世に繋げ、焼き物を活用するあらゆる産業、社会を支えていきます。